「おカネ(貨幣)」(:「交換の媒介物」としての機能を有するモノ)は、
使用の際に抱える問題点の改善に伴って、その姿を次第に変えていきました。
ⅰ 物品貨幣
ⅱ 金属貨幣
ⅲ おカネの機能
ⅰ 物品貨幣
最初に「おカネ」として使われたのは、「物品貨幣」でした。
「物品貨幣」は、「自然貨幣」と「商品貨幣」の2種類に分けられます。
・自然貨幣
「自然貨幣」とは、主に貝、石、骨などの自然物などを「貨幣」としたものです。
「貨幣」自体には使用価値が無いのが特徴の一つです。
希少性が高く、誰もが欲しがるモノであり、お互いに価値があるモノだと認めていたため、
「おカネ(貨幣)」として使用されました。
「自然貨幣」は、希少性が高くて供給量は少なかったため、
『交換』が円滑に行われないという問題がありました。
・商品貨幣
「商品貨幣」とは、主に米、布、塩、家畜、穀物などの生活必需品を「貨幣」としたものです。
「貨幣」自体に使用価値があるのが特徴の一つです。
誰もが生活に必要とするモノであったので、お互いがその価値を認め合っており、
「おカネ(貨幣)」として使用されました。
「商品貨幣」には、劣化し易い、供給が不安定、分割が難しい、持ち運びが不便という問題がありました。
ⅱ 金属貨幣
そこで次に「物品貨幣」に代わり、持ち運びに便利で壊れにくく分割が容易で劣化しにくい
金、銀、銅などの「金属貨幣」が「おカネ(貨幣)」として扱われるようになりました。
「金属貨幣」も珍しいものであり、誰もが価値のあるモノだと認識していたため、
「貨幣」として使用されたのです。
劣化しにくいという性質を持っていたため、
いざという時の為に貯蓄することができるようになりました。
こうして「おカネ(貨幣)」には「価値の貯蔵手段」としての機能も加えられました。
「金属貨幣」は、「秤量貨幣」から「鋳造貨幣」へと姿を変えていきます。
・秤量貨幣
「秤量貨幣」とは、金属の重さを量り、
その「重さ」をその金属の「価値」として扱う「おカネ(貨幣)」のことです。
金属の計量値がそのまま「価値」として認められ、モノと交換することができるというものでした。
ただし、交換の度にその金属の重さを量る手間、純度を調べる手間がありました。
・鋳造貨幣
次に、金属を溶かし型に流してつくった「鋳造貨幣」(大判小判)が使われるようになりました。
これは、重量や純度が一定である「金属貨幣」です。
これにより、交換の度に金属の重さを量る手間や純度を調べる手間が無くなりました。
さらに、これにより「おカネ(貨幣)」はモノの価値を測る基準とすることが可能となりました。
「おカネ(貨幣)」には「価値の尺度」としての機能も加わることになったのです。
額面を表示するため、「計数貨幣」とも呼ばれていました。
この「鋳造貨幣」は、信用のある貴族や国王のみが発行する権利(通貨発行権)を有していました。
以後、おカネ(貨幣)は紙幣へと変わり、
同額の金貨などとの交換を約束した、裏付けのある「兌換紙幣」から、
金貨との交換を保証しない、裏付けのない「不換紙幣」、
または「電子マネー」へと姿を変えていくことになります。
また、おカネは国王やその国の政府ではなく、
実質その国の中央銀行及び民間銀行が作りだしているのが現状です。
ⅲ おカネの機能
こうした変遷を経ておカネは発達し、
①「交換の媒介物」(『交換』決済手段)、としての機能に加え、
②「価値の貯蔵手段」(価値の備蓄・保存)
③「価値の尺度」(モノの価値を測る基準・価値の比較)
という3つの機能・役割を有するようになりました。